経済のグローバル化の一問一答と流れの解説
貿易と国際分業の理論から始め、自由貿易の体制と為替のしくみ、地域経済統合、南北問題と国際協力をたどります。まず流れの解説を読み、一問一答(29問)と、用語から説明を選ぶ4択で確認します。
一度の正解は「正解済み」、別の日にも正解すると「定着」と表示します。
流れの解説
貿易と国際分業
国と国との間で商品やサービスを売り買いすることを貿易といい、各国が得意な商品の生産に特化して交換し合うことを国際分業といいます。先進国が工業製品を、発展途上国が一次産品を生産して交換する形を垂直的分業、先進国どうしが工業製品を互いに輸出し合う形を水平的分業といいます。近年は、一つの製品の部品を複数の国で分担して生産するように、国境を越えた分業がさらに細かくなっています。企業が海外に工場を移すことで、世界の経済の結び付きは強まり、ある国の出来事がほかの国の経済にすぐに影響する相互依存の関係が深まっています。
なぜ分業すると利益が生まれるのかを説明したのが、19世紀初めのイギリスの経済学者リカードの比較生産費説です。ある国がどの商品も他国より効率よく生産できるとしても、国内で相対的に得意な商品に生産を集中し、残りは輸入した方が、両国とも全体として多くの商品を手にできるとしました。リカードはこの理論をもとに自由貿易を主張しました。これに対し、ドイツのリストは、工業化の遅れた国では幼稚産業を守り育てるため、関税をかけるなどの保護貿易が必要だと説きました。自由貿易は消費者に安い商品をもたらし、国全体の効率を高めますが、競争に負けた国内産業では雇用が失われることもあります。どこまで市場を開くかは、各国が議論を重ねてきた問題です。
自由貿易の体制と為替
1930年代の世界恐慌の際、各国が関税を引き上げ、自国と植民地などで閉じた経済圏をつくるブロック経済に走ったことは、第二次世界大戦の一因となりました。この反省から1947年にGATTが結ばれ、関税の引き下げと輸入制限の撤廃が進められました。1995年には、サービス貿易や知的財産権も扱い、紛争処理の手続きを強めたWTOが発足しました。ある加盟国に与えた有利な条件をすべての加盟国に与える最恵国待遇は、その基本的な原則の一つです。輸入品を国内の製品と差別せずに扱うことも求められており、こうした無差別の原則によって、加盟国は互いに公平な条件で貿易を行うことがめざされています。
貿易や投資には通貨の交換が欠かせません。通貨が交換される場を外国為替市場といい、交換比率を為替相場(為替レート)といいます。戦後しばらくは1ドル=360円の固定為替相場制がとられていましたが、1973年以降、主要国は需要と供給で比率が決まる変動為替相場制に移りました。外国通貨に対して円の価値が上がることを円高、下がることを円安といいます。例えば1ドル=150円から100円になれば円高です。円高になると日本の輸出品は海外で割高になって輸出に不利になり、輸入品は安くなります。円安ではその逆になります。円高は輸入品を安く買える点で消費者や輸入企業に有利ですが、輸出企業の利益を減らします。円安は輸出企業に有利ですが、輸入する原材料や食料の値上がりにつながります。為替の変動は、立場によって受け止め方が異なるのです。
地域経済統合
世界全体での交渉に加えて、特定の地域や国どうしで結び付きを強める地域経済統合も進んでいます。ヨーロッパでは、1993年にマーストリヒト条約の発効によってEUが発足し、人・物・資本・サービスの自由な移動が進みました。1999年には共通通貨ユーロが導入され、多くの加盟国で使われています。
国どうしの協定には、関税などの貿易の障壁を取り除くFTAと、それに加えて投資のルールや人の移動、知的財産の保護なども含めて経済関係を広く強めるEPAがあります。日本も多くの国・地域とEPAを結んでいます。地域経済統合は域内の貿易を活発にしますが、域外の国を不利にするおそれもあり、WTOが進める世界全体の自由貿易とどう両立させるかが課題とされています。アジア太平洋地域でも、複数の国が参加する大規模な経済連携協定が結ばれており、貿易や投資のルールづくりが地域単位で進んでいます。
南北問題と国際協力
先進国と発展途上国との間の経済格差から生じる問題を南北問題といいます。多くの発展途上国は、植民地時代に形づくられたモノカルチャー経済のため、一次産品の価格の変動に経済が左右されやすい状態にありました。1964年には発展途上国の要求を背景にUNCTADが設けられ、貿易と開発の問題が話し合われてきました。そこでは、発展途上国の産品の輸入に対して先進国が関税を低くする特恵関税などが求められました。1980年代には中南米などで累積債務問題が深刻になりました。その後、資源をもつ国や工業化を進めた国と、開発の遅れた後発の国との間でも格差が広がりました。これを南南問題といいます。
格差を縮めるための取り組みとして、先進国の政府によるODAがあり、日本も資金や技術の協力を続けてきました。民間でも、生産者に公正な価格を支払って継続的に取引するフェアトレードや、バングラデシュのグラミン銀行が広めた、貧しい人々に担保なしで少額の資金を貸し出すマイクロクレジットが、援助だけに頼らない自立の手段として注目されています。消費者として何を買うかを選ぶことも、国際社会の格差の問題とつながっています。援助の在り方についても、資金を送るだけでなく、教育や保健、職業訓練などを通じて人々が自ら生活を改善できる力を高めることが重視されるようになりました。
国際社会の貧困の問題は、第14章「持続可能な社会づくり」でSDGsとあわせて扱います。貿易や為替のしくみは、まなびジムの政経ジムの「国際経済」の章で、さらに詳しく確かめられます。
一問一答
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