財政・租税と社会保障の一問一答と流れの解説
財政の3つの機能と租税・国債のしくみから始め、社会保障制度の柱と少子高齢社会での負担の分かち合いをたどります。まず流れの解説を読み、一問一答(29問)と、用語から説明を選ぶ4択で確認します。
一度の正解は「正解済み」、別の日にも正解すると「定着」と表示します。
流れの解説
財政の3つの機能
政府が税などで収入を得て、それを使って公共のサービスを提供する経済活動を財政といいます。市場は多くの財やサービスを効率よく配分しますが、道路や公園、警察や消防のように、代金を払わない人を利用から除くことが難しいものは、市場にまかせると十分に供給されません。そこで政府が税金を使ってこれらを供給します。これが資源配分の調整です。国の予算は、国会の議決を経て決まり、国民の代表が税の使い道を監視するしくみになっています。
市場で決まる所得には大きな差が生まれることがあります。政府は、所得の多い人により重い税をかけ、その財源で社会保障の給付を行うことで格差を縮めます。これが所得の再分配です。さらに、景気が悪いときには公共投資を増やしたり減税したりし、景気が過熱しているときにはその逆を行って、景気の大きな変動をならします。これが景気の安定化で、このように政府が意図的に行う財政政策をフィスカル・ポリシーといいます。また、好況のときは税収が自然に増え、不況のときは失業給付が自然に増えるため、財政には景気の変動をやわらげる働きがもともと組み込まれています。これをビルト・イン・スタビライザーといいます。
租税のしくみと公平
日本国憲法は、税を新たに課したり変えたりするには法律によらなければならないとしています。これを租税法律主義といい、国民の代表である国会が決めた法律によってのみ国民に負担を求めるという、民主政治の基本に根ざした考え方です。
税は、納める人と負担する人が同じ直接税と、両者が異なる間接税に分けられます。所得税や法人税は直接税、消費税や酒税は間接税です。所得税は、所得が多くなるほど高い税率をかける累進課税を採用しています。所得の多い人ほど多く負担するという考え方を垂直的公平といい、累進課税はこれを実現するしくみです。一方、所得が同じなら同じ額を負担するという考え方を水平的公平といいます。消費税は、働き方や所得の種類にかかわらず消費に等しくかかるため水平的公平にかなう面がある一方、所得の低い人ほど所得に占める負担の割合が高くなる逆進性をもちます。2019年に税率が10%に上がった際、飲食料品などに8%を適用する軽減税率が導入されたのは、この負担をやわらげるためです。税の種類ごとに長所と短所があるため、国は所得・消費・資産などにかかる税を組み合わせて税収を確保しています。
国債と財政の課題
税収だけで歳出をまかなえないとき、国は国債を発行して借り入れます。財政法は国債の発行を原則として認めず、道路や橋などの公共事業費などの財源にあてる建設国債を例外としています。公共事業でつくられた施設は将来の世代も利用するからです。一般的な経費の不足を補う特例国債(赤字国債)は、特別の法律を制定して発行されます。日本では1990年代半ばから特例国債の発行が毎年度続き、国債の残高が大きくふくらみました。
国債の元利払いは将来の税でまかなうため、発行に頼りすぎると将来の世代に負担を回すことになり、また予算の多くが元利払いに回って必要な政策に使いにくくなるおそれがあります。そこで、国債の収入を除いた歳入で、国債の元利払いを除いた歳出をまかなえているかを示すプライマリー・バランスが、財政の健全さをはかる指標の一つとされています。財政の健全化を急ぐべきだという意見と、景気や社会保障への影響を考えて慎重に進めるべきだという意見があり、税と支出のどちらをどの程度見直すかは、国民が選挙などを通じて判断する問題です。
社会保障制度と少子高齢社会
日本の社会保障制度は、日本国憲法の生存権の保障を基礎に、4つの柱からなります。加入者が保険料を出し合い、病気・老齢・失業・介護などのときに給付を受ける社会保険、生活保護法に基づき生活に困窮する人に最低限度の生活を保障する公的扶助、児童・高齢者・障害者などにサービスを提供する社会福祉、感染症の予防や上下水道の整備などで健康を守る公衆衛生です。1961年には国民皆保険・国民皆年金が実現し、すべての国民が公的な医療保険と年金に加入するしくみが整いました。2000年には、介護を社会全体で支える介護保険も始まりました。社会保障の給付を支える財源は、加入者の保険料、事業主の負担、税金などです。高齢者が増えると年金・医療・介護の給付が増え、その費用をどう分け合うかが大きな課題になります。
公的年金の財源のしくみには、働く世代の保険料でその時の高齢者の年金をまかなう賦課方式と、自分の保険料を積み立てて将来受け取る積立方式があります。日本の公的年金は賦課方式を基本としているため、合計特殊出生率が低下して少子高齢化が進むと、支える世代1人当たりの負担が重くなります。
社会全体の負担の大きさは、租税と社会保険料の負担を国民所得と比べた国民負担率で示されます。北欧の国々のように手厚い給付と重い負担を組み合わせる高福祉高負担の考え方と、負担を軽くする代わりに給付も抑える低福祉低負担の考え方があり、どの水準を選ぶかについては意見が分かれます。生活上の困難への備えは、自分で備える自助、社会保険のように支え合う共助、税による公助を組み合わせて考えることが大切です。
財政の制度は、まなびジムの政経ジムの「財政と租税」の章で、社会保障の歩みは同じく「労働問題と社会保障」の章で、さらに詳しく確かめられます。民間の保険や資産形成は第10章「金融のはたらき」で扱います。
一問一答
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