国家と国際社会の一問一答と流れの解説
主権国家と国際法から始め、領域と日本の領土、国際連合のしくみ、日本の平和主義と安全保障、軍縮と人間の安全保障をたどります。まず流れの解説を読み、一問一答(28問)と、用語から説明を選ぶ4択で確認します。
一度の正解は「正解済み」、別の日にも正解すると「定着」と表示します。
流れの解説
主権国家と国際法
現代の国際社会は、領域・国民・主権の3つの要素をもつ主権国家を基本の単位として成り立っています。主権国家どうしは対等であり、他国の内政に干渉しないことが原則です。このような主権国家体制は、三十年戦争を終わらせた1648年のウェストファリア条約をきっかけに、ヨーロッパで成立したとされます。
国家の上に立つ世界政府は存在しないため、国家どうしの関係を規律するのは国際法です。三十年戦争の惨禍を見たオランダのグロティウスは『戦争と平和の法』を著し、戦争にも守るべきルールがあると説いて「国際法の父」と呼ばれます。国際法には、国家間で文書によって合意した条約と、長い間の国家の慣行が法として認められた国際慣習法があります。
国家間の争いを法に基づいて解決する機関として、オランダのハーグに国際司法裁判所があります。ただし、裁判を始めるには争っている当事国がともに同意する必要があり、一方の国が拒めば裁判は開かれません。また、集団殺害などの重大な犯罪を犯した個人を裁く国際刑事裁判所も、2002年に設立条約(ローマ規程)が発効して設けられました。
領域と日本の領土
国家の主権が及ぶ範囲を領域といい、陸地である領土、海岸の基線から12海里までの領海、領土と領海の上空である領空からなります。国連海洋法条約は、基線から200海里までのうち領海を除く海域を排他的経済水域とし、沿岸国が水産資源や海底の鉱物資源を利用する権利をもつと定めています。その外側は、どの国も自由に利用できる公海です。
日本の領土をめぐっては、北海道の北東にある歯舞群島・色丹島・国後島・択捉島からなる北方領土が、我が国固有の領土でありながらロシアに不法に占拠されています。島根県に属する竹島も我が国固有の領土ですが、韓国に不法に占拠されています。日本は竹島の問題を国際司法裁判所に付託することを提案してきましたが、韓国は応じていません。一方、沖縄県に属する尖閣諸島は我が国固有の領土であり、現に我が国が有効に支配していて、解決すべき領有権の問題は存在しません。主権と国民の安全に関わる問題として、1970年代から80年代を中心に日本人が北朝鮮に連れ去られた拉致問題もあり、日本政府は被害者全員の帰国を求めています。
国際連合のしくみ
第一次世界大戦後に生まれた国際連盟は、大国の不参加や全会一致の議決方法などのため、第二次世界大戦を防げませんでした。その反省から、1945年に国際連合が発足しました。国際連合は、侵略などを行った国に対して加盟国全体で制裁を加える集団安全保障の考え方をとっています。その中心となるのが、国際の平和と安全の維持に主要な責任を負う安全保障理事会で、アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国の5つの常任理事国と、10の非常任理事国で構成されます。重要な問題の決定には常任理事国すべての同意が必要で、1か国でも反対すると決議は成立しません。この拒否権は、大国が協調して平和を守るための仕組みである一方、大国の利害が対立すると安全保障理事会が機能しなくなる原因ともなっています。国際連合は、紛争地域で停戦の監視や選挙の支援などを行う平和維持活動(PKO)も展開してきました。
日本の平和主義と安全保障
日本国憲法は、前文で平和のうちに生存する権利をうたい、第9条で戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を定めて、平和主義を基本原理の一つとしています。一方、日本は1951年にアメリカと日米安全保障条約を結び、アメリカ軍の日本駐留を認めました。1954年には自衛隊が発足し、日本の防衛のほか、災害派遣や国際平和協力活動などを担っています。
自衛隊と憲法第9条の関係について、政府は自衛のための必要最小限度の実力は憲法が禁じる戦力に当たらないという立場をとってきました。これに対して、自衛隊は戦力に当たり憲法に反するという主張や、憲法を改正して自衛隊の位置づけを明記すべきだという主張など、さまざまな立場があります。自衛隊の最高指揮監督権は文民である内閣総理大臣がもち、軍事組織を文民の統制の下に置く文民統制がとられています。また日本は、核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」という非核三原則を掲げています。
軍縮と人間の安全保障
核兵器をはじめとする兵器を減らす軍縮も、国際社会の大きな課題です。1968年に調印された核拡散防止条約(NPT)は、核兵器をもつ国を5か国に限り、それ以外の国が新たに核兵器をもつことを禁じています。2017年には、核兵器の開発・保有・使用などを全面的に禁止する核兵器禁止条約が採択され、2021年に発効しました。こうした条約づくりでは、政府から独立して活動する民間の団体であるNGOが大きな役割を果たし、対人地雷全面禁止条約の成立でもその働きが注目されました。
冷戦の終結後は、民族や宗教をめぐる地域紛争、テロ、貧困、感染症など、国家どうしの戦争以外の脅威が目立つようになりました。そこで、国家の安全だけでなく、一人ひとりの人間を恐怖と欠乏から守り、その可能性を生かせるようにする人間の安全保障という考え方が重視されています。
国際連合や軍縮の歩みは、まなびジムの政経ジムの「国際政治」の章で、平和をめぐる思想は倫理ジムの「福祉・文化と宗教・平和」の章で、さらに詳しく確かめられます。国際社会の貧困や格差の問題は、第12章「経済のグローバル化」で扱います。
一問一答
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