司法と人権の一問一答と流れの解説
基本的人権の種類から始め、公正な裁判の仕組み、刑事裁判と人権、国民の司法参加、犯罪被害者の支援と更生をたどります。まず流れの解説を読み、一問一答(28問)と、用語から説明を選ぶ4択で確認します。
一度の正解は「正解済み」、別の日にも正解すると「定着」と表示します。
流れの解説
基本的人権の保障
日本国憲法は、人が生まれながらにもつ基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」として保障しています。その中心にあるのが、国家権力から干渉されずに考え、行動する自由権です。自由権は、思想・良心の自由や信教の自由などの精神の自由、不当に身体を拘束されない人身の自由、職業選択の自由や財産権などの経済の自由に分けられます。18世紀の市民革命で確立したこの権利は、「国家からの自由」とも呼ばれます。
資本主義の発展とともに貧困や失業が広がると、国家が積極的に関わって人間らしい生活を保障すべきだという考えが生まれました。これが社会権で、1919年のドイツのワイマール憲法が初めて体系的に定めました。日本国憲法は、生存権、教育を受ける権利、勤労の権利、労働基本権を保障しています。さらに、選挙権や被選挙権のように国民が政治に加わる参政権、裁判を受ける権利のように人権を確保するために国に一定の行為を求める請求権があります。社会の変化にともない、憲法に明文の規定はないものの、幸福追求権などを根拠に主張される新しい人権も認められるようになりました。私生活をみだりに公開されない権利から、自分に関する情報を自分で管理する権利へと考え方が広がってきたプライバシーの権利は、その代表です。
公正な裁判と司法権の独立
権利が侵されたとき、最後に頼れるのが裁判所です。公正な裁判のためには、裁判所が国会や内閣などから圧力を受けず、裁判官が良心に従い、憲法と法律にのみ拘束されて判断する司法権の独立が欠かせません。1891年の大津事件では、ロシア皇太子を負傷させた犯人の死刑を求める政府に対し、大審院長の児島惟謙が法に従った判決を担当の裁判官に促しました。司法権の独立を守った例として知られる一方、担当でない者が裁判官に働きかけた点は、裁判官の独立の面で問題があったとも指摘されます。
裁判官の身分は手厚く保障され、心身の故障や、国会に設けられる弾劾裁判所の裁判などによらなければ罷免されません。最高裁判所の裁判官は、任命後初めての衆議院議員総選挙の際などに国民審査を受けます。日本の裁判は、判決に不服があれば上級の裁判所に訴え、原則として3回まで審理を受けられる三審制をとっています。判決が確定した後でも、新たな証拠が見つかるなど重大な理由があれば、裁判をやり直す再審の道があります。また、すべての裁判所は、法律や命令、処分が憲法に適合するかどうかを判断する違憲審査権をもちます。その最終的な判断を下すのは最高裁判所であり、このことから最高裁判所は憲法の番人と呼ばれます。
刑事裁判と人権
裁判には、お金の貸し借りや損害賠償のように私人どうしの争いを裁く民事裁判と、犯罪の疑いのある人について有罪か無罪か、どの刑罰を科すかを決める刑事裁判があります。刑事裁判では、警察などの捜査を踏まえて検察官が被疑者を起訴するかどうかを決め、起訴された被告人を法廷で裁きます。
刑罰は人の自由や財産を奪う重い制裁なので、国家が思うままに用いることは許されません。そこで、どのような行為が犯罪となり、どのような刑罰が科されるかを、あらかじめ法律で定めておかなければならないとする罪刑法定主義が、刑法の基本原則とされています。また、有罪の判決が確定するまでは罪を犯していない人として扱う推定無罪の原則や、自分に不利益な供述を強要されない黙秘権などが、被疑者・被告人の人権を守ります。こうした保障があるのは、無実の人が有罪とされる冤罪を防ぐためです。過去には、死刑判決を受けた人が再審で無罪となった事件も起きています。
国民の司法参加
司法に国民の感覚を反映させ、裁判への理解と信頼を深めるため、2009年に裁判員制度が始まりました。くじで選ばれた裁判員が、殺人などの重大な刑事事件の第一審に参加し、原則として裁判官3人と裁判員6人が一緒に、有罪か無罪か、有罪ならどのような刑にするかを決めます。
国民が関わる仕組みはほかにもあります。検察審査会は、くじで選ばれた11人の国民が、検察官が起訴しなかった判断のよしあしを審査する機関です。同じ事件で2度にわたって起訴すべきだと議決されると、裁判所が指定した弁護士が検察官に代わって起訴する強制起訴が行われます。
犯罪被害者の支援と更生
かつての刑事司法は、被疑者・被告人の人権を守ることを重視する一方、犯罪の被害者やその遺族が置き去りにされているという批判を受けてきました。2004年に犯罪被害者等基本法が制定され、2008年からは、一定の重大事件で被害者や遺族が法廷で被告人に質問したり意見を述べたりできる被害者参加制度が始まりました。
刑罰には、罪に応じた責任を負わせる意味とともに、罪を犯した人が立ち直り、再び罪を犯さないようにする意味もあります。社会の中で生活しながら、国の保護観察官と、地域のボランティアである保護司の指導や援助を受けて更生をめざす保護観察は、その代表的な仕組みです。被害者の回復と加害者の更生をともに支えることが、安全な社会につながります。
基本的人権の内容は、まなびジムの政経ジムの「基本的人権」の章で、裁判所の仕組みは同じく「裁判所と司法制度」の章で、さらに詳しく確かめられます。表現の自由や知る権利は第6章「政治参加と世論」で扱います。
一問一答
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