市場経済のしくみの一問一答と流れの解説
需要と供給による価格の決まり方から始め、寡占と競争政策、市場の失敗、企業の役割と社会的責任をたどります。まず流れの解説を読み、一問一答(28問)と、用語から説明を選ぶ4択で確認します。
一度の正解は「正解済み」、別の日にも正解すると「定着」と表示します。
流れの解説
需要・供給と価格
私たちが買う商品の価格は、誰かが一方的に決めているわけではありません。市場では、買い手の買いたい量である需要と、売り手の売りたい量である供給が出会い、その関係で価格が決まります。価格を縦軸、数量を横軸にとると、価格が下がるほど多く買われるので需要曲線は右下がりになり、価格が上がるほど多く売られるので供給曲線は右上がりになります。2本の曲線が交わる点で決まる価格が均衡価格です。
価格が均衡価格より高いと、売りたい量が買いたい量を上回る超過供給となり、売れ残りが出るので価格は下がります。反対に価格が低いと、買いたい量が売りたい量を上回る超過需要となり、品不足になるので価格は上がります。こうして価格が上下することで需要と供給の不一致がおのずと解消されるはたらきを、価格の自動調節機能といいます。人気が高まった商品の価格が上がると、生産者はその生産を増やし、そこに労働力や原材料が集まります。価格は、限られた資源をどこに振り向けるかを知らせる信号の役割を果たしているのです。
また、価格以外の条件が変わると、曲線そのものが動きます。例えば、ある商品がテレビで紹介されて人気が出ると、どの価格でも買いたい量が増えるので需要曲線は右へ移り、均衡価格は上がります。原材料が値上がりして生産費が増えると、どの価格でも売りたい量が減るので供給曲線は左へ移り、やはり均衡価格は上がります。グラフを読むときは、曲線上の動きなのか、曲線そのものの移動なのかを区別することが大切です。
このように、価格を通じて資源が配分されるしくみを市場機構といいます。アダム・スミスは、人々が自分の利益を追求すれば、見えざる手に導かれるように社会全体の利益が実現すると説きました。市場は商品だけでなく、お金を貸し借りする金融市場や、労働力を売買する労働市場にもあり、そこでは金利や賃金が価格の役割を果たします。
寡占と競争政策
市場機構がうまく働くには、多くの売り手と買い手が自由に競争していることが前提です。しかし現実には、大量生産に有利な大企業が市場の大部分を占める寡占や、1社だけが市場を支配する独占が生じます。寡占市場では、有力な企業が価格を設定し他社が追随する管理価格が生まれやすく、生産費が下がっても価格が下がりにくい価格の下方硬直性が見られます。また、企業は値下げ競争を避け、広告やデザイン、品質などで競う非価格競争に力を入れるようになります。
競争が弱まると、消費者は高い価格を払わされ、技術革新も進みにくくなります。そこで、企業どうしが価格や生産量を申し合わせるカルテルや私的独占を禁じるため、1947年に独占禁止法が制定されました。この法律を運用するのが公正取引委員会で、違反した企業に違反行為をやめさせる措置を命じたり、課徴金の納付を命じたりします。企業どうしの合併も、競争を大きく制限するおそれがある場合には審査の対象になります。
市場の失敗
競争が保たれていても、市場機構だけではうまくいかない場合があり、これを市場の失敗といいます。一つは、ある経済主体の活動が市場を通さずに他人に影響を与える場合です。公害のように不利益を与えるものを外部不経済、反対に利益を与えるものを外部経済といいます。外部不経済は生産者の費用に含まれないため、放っておくと過剰に生み出されます。そこで、規制や課税によって費用を負担させる工夫が必要になります。日本では高度経済成長期に深刻な公害が起こり、汚染者がその費用を負担すべきだという考え方が広まりました。
道路や公園、消防のような公共財は、多くの人が同時に利用でき、お金を払わない人を利用から締め出すことが難しい財です。費用を払わずに利益だけを得るフリーライダーが出るため、民間企業は十分に供給しようとしません。そのため、主に政府が税金を使って供給しています。さらに、売り手と買い手の間に情報の非対称性があると、買い手は品質を見分けられず、取引がうまく成り立たなくなります。製品事故や薬害を防ぐための安全基準や、情報の表示を義務づける制度は、この問題への対応です。このように、市場の失敗を補うことは政府が経済に関わる大きな理由の一つですが、どこまで市場に任せ、どこから政府が関わるべきかについては、さまざまな考え方があります。
企業の役割と社会的責任
市場で生産を担う主な主体は企業です。企業には、国や地方公共団体が経営する公企業と、民間が出資し利潤の獲得を目的とする私企業があります。企業の活動は、株主・従業員・消費者・取引先・地域住民など多くのステークホルダーに影響を与えます。そのため企業には、利潤を追求するだけでなく、社会の一員として責任ある行動をとる企業の社会的責任(CSR)が求められています。法律や社会の倫理を守るコンプライアンスの徹底はその土台であり、さらに芸術・文化活動を支援するメセナや、寄付などの慈善活動であるフィランソロピーに取り組む企業もあります。
株式会社の仕組みや企業の資金調達は第10章「金融のはたらき」で、契約と消費者の保護は第4章「法の役割と私たちの生活」で扱います。市場機構や市場の失敗は、まなびジムの政経ジムの「市場のしくみ」の章で、さらに詳しく確かめられます。
一問一答
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